感想1

竹内さん(http://www25.big.or.jp/~monsters/)とこでお奨めされてた「バルタン星人はなぜ美しいか」読了。

オレが記憶にあるウルトラマンは初代マン・セブン・エース・タロウ(前半)くらい。
この本で言われるとおり、確かに初代とセブンの怪獣デザインは圧倒的な説得力で成り立っている記憶がある。
デザインとしての完成度もそうだが、ヌイグルミの質感が鉱物は鉱物らしく、生物は血肉を金属は硬質感をきちんと表現され、デザインとの調和が見事であった。
それが、エースやタロウの時代になると子供だまし的なレベルに落ち、自らの成長と共に興味が薄れていった記憶がある。この辺りについて、本書はデザイナーと造形化、双方の協力ゆえであると語っている。(というかほとんどその話しなのだが)

また、デザイン論と共に怪獣と闇との関係も語られているが、昨今のヒーロー物を見るたびに感じていた不満をここで代弁してくれたような明解さ。冒頭のバルタン星人だけでなく初代仮面ライダーキカイダーなど、オレの記憶に鮮明に残っているヒーロー物は闇と共にあった。闇にうごめくおぞましき者達、個々の思惑を闇で覆い隠し、陰謀を張り巡らす。それはまさしく映画「ゴッドファーザー」で描かれた物と同種の脅威だったように思う。
エイリアンがそうであったように「闇に対する根源的な恐怖」、これをまとわすことにより、怪しの物たちはその魅力を一層際立たすことができるのだ。全貌が見えたとき、人はその物に畏敬の念など抱かなくなる。このことが判っていれば、ヒーロー物などいくらでも魅力的に作れるはずなのに……。
本の内容は、思い入れだけで語っているようなところが多分にあるが、このような本を書くに至った情熱を考慮すれば愛嬌と言って良いであろう。
まともに特撮物を読んだのは10数年ぶりだが、なかなか面白い本でした。